AI 開発と言っても、たぶん三種類くらいある。

AI を使って、アプリを開発する。

AI を使ったアプリを開発する。

AI 自体を開発する。

最近は一番目の話をよく聞く。Claude Code や Codex にコードを書いてもらうやつだ。

今回は真ん中の話である。

Claude や OpenAI の API を呼び出せば、自分のアプリの中に AI の機能を組み込める。

これは本当に簡単になった。

ちょっと前なら、「自然言語を理解して、何かいい感じの結果を返す機能を作ります」なんて言い出したらそれだけで大仕事だった気がするし、NLU だの n-gram だのといった面倒な話も全部ひっくるめて設計していたのに、今ではプロンプトを一つ投げるだけでそれっぽく動いてしまうのが本当に便利である。

今なら API を呼べばいい。

便利である。

ところで、今作っているアプリでは、AI を一回呼び出すたびに、そのリクエストにいくら掛かったのかを標準出力に出すようにしている。

開発中だからできる遊びみたいなものだ。

一回呼び出す。

0.08 円。

もう一回。

0.12 円。

まあ、プロンプトやモデルによって全然違うのだけれど、仮に一回 0.1 円としよう。

どうだろう。

安い。

ほとんどタダみたいなものである。

では、ユーザーが 1,000 人いたらどうなるだろう。

正確には DAU 1,000 人。

一人が一日に 20 回、AI を呼び出す。

すると、

0.1 円 × 20 回 × 1,000 人。

一日 2,000 円である。

一か月なら、だいたい 6 万円。

……6 万円。

急に金額らしい顔をし始めた。

郊外でアパートの一室を借りているくらいの金額ではないだろうか。

一回 0.1 円だったはずなのに。

こうなってくると、がぜん課金してほしくなる。

例えば月額 1,000 円にする。

AI 代だけを賄うなら、60 人に課金してもらえばいい。

DAU 1,000 人のうち 60 人。

6%。

うーん。

そして、もちろんサービスを動かすのに必要なのは AI だけではない。

Neon がいるかもしれない。

TiDB を使うかもしれない。

Auth0、RDS、Railway。

AWS。

Datadog。

何を使うかはアプリによるけれど、データベースがあって、サーバがあって、認証があって、ログがある。

一個一個はそれほど高くない。

無料枠もある。

月に数ドルとか、数十ドルとか。

「まあ、それくらいなら」と思う。

問題は、それがいっぱいあることだ。

さらに決済を始めれば、決済にも手数料が掛かる。

つまり、さっきの有料ユーザー 60 人では、AI 代を払ったところで終わりである。

売上 6 万円。

AI 代 6 万円。

利益 0 円。

何のために課金したのだ。

もちろん実際には、一回の AI 呼び出しをもっと安くする方法もある。

小さいモデルを使うとか、キャッシュするとか、そもそも AI を呼ばなくていい処理を増やすとか。

だから今、アプリを作りながらペイラインを探っている。

この機能は一回いくらなのか。

一人のユーザーは何回使うのか。

何人までなら無料で使ってもらえるのか。

どこから課金しないと赤字になるのか。

コードを書きながら、そんなことも考える。

AI を使ったアプリは、ずいぶん簡単に作れるようになった。

少なくとも「AI っぽい機能を実装する」ところまでは、本当に簡単である。

ただし。

作れることと、動かし続けられることは別らしい。

一回 0.1 円。

安い。

たぶん安い。

でも、それを一日に二万回呼ぶ。

あーあ。

お金、かかるよね。