先日、ファミ通の記事を眺めていたら、『Japanese Ramen Simulator』というゲームを見つけた。

ラーメン屋を経営するゲームである。

食材を仕込み、麺を茹で、スープを作り、トッピングを盛り付ける。自分だけのオリジナルラーメンを作って店を経営するらしい。

あー。

先に出たかぁ……。

まあ、そりゃ出るよなぁ。

というのも、僕もラーメン屋シミュレーターを作ろうとしていた。

GitHub を見ると、今でも rs という、そのまんま Ramen Simulator のリポジトリが残っている。 → https://github.com/ayasuda/rs

しかも、思ったよりちゃんと作ろうとしている。

企画書があり、ゲーム全体の構成があり、レシピクラフト、顧客システム、店舗経営、メニューと価格戦略まで仕様がある。

ラーメンは、麺、スープ、かえし、香味油、具材、盛り付けに分解する。

さらに完成したラーメンには、旨味、香り、塩味、脂、甘味、刺激、創作性、見た目、ボリュームなどの評価軸がある。

客側にも好みがある。

脂っこくてボリュームのあるラーメンが好きな大学生もいれば、見た目を重視する客もいる。同じラーメンを食わせても、客によって評価が変わる。

そのへんをベクトルにして計算式まで書いていた。

何をやっているんだ、昔の僕は。

では、なぜ完成していないのか。

単純である。

家事と育児がある。

仕事がある。

小説も書いている。

そして今は別の個人開発をやっている。

人生には時間が足りない。

ラーメン屋シミュレーターは、僕の実行キューから追い出された。

そして、その間に他の人が作った。

とはいえ、別に「僕が先に考えたのに!」という話でもない。

ラーメン屋を経営するゲームなんて昔からある。

ブラウザゲームの『ラーメン魂』もあったし、カイロソフトには老舗の『こだわりラーメン館』がある。

僕のアイディアが世界で唯一無二のものだったかと言われれば、そんなことは全然ない。

そして何より、僕のラーメン屋シミュレーターはリリースされていない。

ここが決定的である。

リリースされないアイディアは、実に意味がない。

どれだけ面白いことを思いついても、仕様書を書いても、計算式まで考えても、世に出なければ誰も遊べない。

一方で、今回の『Japanese Ramen Simulator』は遊べる。

発売される。

強い。

アイディアって、マジで無価値だと思う。

でも、アイディアを考えることがつまらないかというと、全然そんなことはない。

むしろ逆である。

あのラーメン屋シムはここが惜しい。

このラーメン屋シムはここが惜しい。

じゃあ、自分ならこうしたい。

自分が実現できなかったアイディアを誰かが実現したのを見て、また刺激を受ける。そして、そこからさらに別のアイディアが出てくる。

アイディアは無限の連鎖である。

だから僕は、アイディアを秘密にしておこうともあまり思わない。

実現しないアイディアは単なる夢だ。

そして、夢は語っても良いものさ。