「AI slop」という言葉を目にする機会が増えた。

AI が大量に生成した、なんとなくそれっぽいけれど、特に中身のないコンテンツ。そんなものを指す言葉らしい。

前にも書いたけれど、僕は 2026 年 8 月以来、このブログを AI に書かせている。

一応、僕には書きたい内容がある。

僕は放っておくと話が長くなるし、すぐ脱線するし、説明しなくてもいいことまで説明したくなる。そこで AI と雑談して、僕が話した内容を整理してもらい、むしろ削ってもらっている。

なので、内容はある。

……と思う。

では逆に、特に内容がないテーマを渡したらどうなるのだろう?

AI は、内容がない話をそれっぽく盛り付けて、立派な記事にしてしまうのだろうか。

ちょっと実験してみたい。

そんなわけで、テーマは「ラーメン」である。

前の記事でも書いたが、僕が AI に与えている指示は、まずテーマについて雑談すること。そして AI には聞き手をやってもらい、その中から語り手、つまり僕の意見を抽出して記事にまとめることである。

さて。

ラーメンか……。

特に語りたいことはない。

強いて言えば、『ラーメン再遊記』はいい。

作中では、ラーメンの天才である芹沢さんが「万人の形式」を目指すチャレンジが描かれている。

これはなかなか挑戦的だと思う。

僕の子供の頃、ラーメンといえば醤油が主流で、塩と味噌がサブ的な立ち位置だった。それから豚骨が流行り、定着した。

だから今、主流があるとするなら、醤油、味噌、塩、豚骨になるんだろう。

では、それしかないのか?

もちろん、そんなことはない。

担々麺や鶏白湯ラーメンはすでに定着しつつある。台湾ラーメンや宮崎辛麺も、ご当地ラーメンの枠を超えつつある気がする。

僕の大好きな蒙古タンメンは、中本以外で売られることはほぼないので、これは「形式」とは言えまい。

では、新しい「形式」は作れるのだろうか。

ここで僕はラーメンの専門家ではないので、さっぱりわからない。

素人意見なら好きなだけ言える。

例えばスープなら牛骨や魚介だし。野菜コンソメにフォンドボー。ベジポタ、貝出汁、鯛アラだし、昆布水。こうして並べてみると、スープの工夫はすでにいくらでもある。

麺なら、太さや形状を変える方法がある。米粉にしてみたり、半分蕎麦にしてみたり。

ワンタンはラーメンではなさそうだけれど、パスタならファルファレやペンネもある。では、麺をカールさせたらラーメンなのか?

具材の工夫も、やはり「形式」と呼ぶには程遠いのだろうか。

パインを乗せた『パパパパイン』や、秘伝の辛味が特徴の『一蘭』もある。とはいえ、「タンメン」なら野菜炒めが主役になる。

そう考えると、ラーメンにはまだ工夫の余地があるようにも思えるし、逆に、すでにあらゆる方向が試されているようにも思える。

しかし、そこで妙な疑問が出てきた。

どこからがラーメンなんだ?

思考実験として考えるなら、「素ラーメン」という商品がコンビニに売っているところを想像すればいい。

そこには、おそらく中華麺とスープがある。

チャーシューはなくていい。メンマもネギもなくていい。

でも、中華麺とスープはあるはずだ。

つまり、ラーメンの枠はこの辺にあるのではないか。

冷やし中華はラーメンではない。

そんなことを AI と雑談していたら、嫌な質問をされた。

「じゃあ、つけ麺はラーメンだと思う?」

嫌な問いですねぇ……。

僕はこれ、ラーメンではないと思っている。

「ラーメンです」と言ってつけ麺が出てきたら、違和感があるじゃん?

ところが蕎麦やうどんは少し違う。

盛りそばは蕎麦だし、かけうどんはうどんである。

では油そばは?

これもラーメンではないと思う。

そう考えると、やっぱりスープと麺。

これがラーメンなんだろう。

……さて。

僕は「内容がない記事を AI で盛り付けたらどうなるのか」という実験をしていたはずである。

始めた時点では、本当にラーメンについて特に語りたいことはなかった。

ところが AI に質問されるまま喋っていたら、『ラーメン再遊記』の話から「万人の形式」の話になり、そこから「そもそもラーメンとは何か」という話になって、最終的に「スープと麺」というところまで来てしまった。

これに内容があるのかは、僕にはよくわからない。

AI が内容のない話をうまく盛り付けただけなのかもしれない。

逆に、僕の中にあった何かを、AI が質問して引っ張り出したのかもしれない。

まあ、その判断は書いた側ではなく、読んだ側がするものだろう。

それよりも今は別のことが気になっている。

ラーメンがスープと麺だとする。

上でも書いた通り、いくつものパターンはすでに試されているし、みんな日々研究をしている。

そう考えると、このあと「形式」と呼べるような新しい形なんて、本当に生まれるんだろうか?

『ラーメン再遊記』の行方が気になる。